社労士試験

社労士が簡単って本当?

ユーキャンの社労士通信講座

「社労士試験は簡単」という意見は本当か?

社労士を目指すに当たり、試験の難易度は気になるところです。

「他の資格と比べると社労士試験は簡単だ」という意見を聞いたことがある方はいませんか?

しかし、社労士の試験は簡単に合格できるほど甘いものではないですよ。

社労士試験の合格率を見てみると、近年では6%~7%程度で推移していることがわかります。

試験年度 受験者数 合格者数 合格率
平成24年度 51,960人 3,650人 7.0%
平成25年度 49,292人 2,666人 5.4%
平成26年度 44,546人 4,156人 9.3%
平成27年度 40,712人 1,051人 2.6%
平成28年度 39,972人 1,770人 4.4%
平成29年度 38,685人 2,613人 6.8%
平成30年度 38,427人 2,413人 6.3%
令和元年度 38,428人 2,525人 6.6%
令和2年度 34,845人 2,237人 6.4%
令和3年度 37,306人 2,937人 7.9%

年度によって合格率にはバラつきがありますが、社労士試験の難易度が高いのは事実です。

Twitterの口コミを見てみても、「社労士試験が簡単だと書いている人は気にする必要なし」とのコメントがあります。

税理士や公認会計士と比べて社労士はマイナーな資格ですが、「試験には簡単に合格できる」と勘違いしないでください。

社労士試験が簡単でない4つの理由

このページでは、社労士試験が簡単でない4つの理由を解説していきます。

近年では更に難易度が上がっていますので、これから社労士の資格を目指す予定の方は要チェックです。

理由1:出題範囲が広く、長時間の勉強が必要

社労士試験が簡単ではないのは、出題範囲が広くて長時間に渡る勉強が必要なのが一番の理由です。

以下では、社労士試験の出題範囲や大まかな内容についてまとめました。

社労士試験の出題範囲や大まかな内容
「労働基準法」「労働安全衛生法」 労働環境に関して規律した法律
「労働者災害補償保険法」「雇用保険法」 労災や失業に備えた所得補償に関する法律
「健康保険法」「国民年金法」「厚生年金保険法」 社会保障に関して規律した法律
「労務管理その他の労働に関する一般常識」 諸法令・労働経済・労務管理など
「社会保険に関する一般常識」 社会保険の管理運営や実態、最近の動向など

例えば、一口に労働法と言っても労働基準法や労働者災害補償保険法など様々な法律あり!

法律の種類によって内容や手続きは異なります。

社労士試験に合格するには、全ての法律についてしっかりと対策しないといけません。

勉強時間の目安も1,000時間前後が必要ですので、社労士の合格までに最低でも1年はかかると心得ておくべきですね。

理由2:専門用語が多い

初学者が社労士試験の勉強を始めると、見たことも聞いたこともない専門用語がバンバン出てきます。

基本のテキストを開いただけでも専門用語が数多く登場しますので、それだけで嫌になる方は少なくありません。

つまり、社労士試験に合格するには、専門的な法律用語に慣れることから始める必要があります。

また、法律特有の言い回しが多いのも社労士試験の難易度が高い理由です。

当然のように法律の条文は日本語ですが、読んでも意味を理解できないケースは多々ありますよ。

理由3:試験の問題数が多く、合格率も低い

社労士試験の科目は70問の択一式と8問の選択式で、その内訳は下記の通りです。

試験科目 択一式(配点) 選択式(配点)
労働基準法及び労働安全衛生法 10問(10点) 1問(5点)
労働者災害補償保険法 10問(10点) 1問(5点)
雇用保険法 10問(10点) 1問(5点)
労務管理その他の労働に関する一般常識 10問(10点) 1問(5点)
社会保険に関する一般常識 10問(10点) 1問(5点)
健康保険法 10問(10点) 1問(5点)
厚生年金保険法 10問(10点) 1問(5点)
国民年金法 10問(10点) 1問(5点)

試験の問題数が多いことからも、社労士に合格するのが簡単でないことがわかります。

「試験範囲が幅広い」「試験問題が多い」という2つの理由で、社労士試験は合格率が低いわけです。

理由4:すべての科目に足切りがある

社労士の試験では全ての科目に足切りがあります。

足切りとは、それぞれの科目に課されている合格のための最低点ですね。

9科目の得点が満点でも、残りの1科目が足切りの基準に満たなければ試験は不合格になります。

足切りの制度は社労士試験の落とし穴ですので注意しましょう。

社労士試験に挑戦するメリット

社労士の試験が簡単ではないと聞き、「やっぱり自分には無理かも…」と諦めている方はいませんか?

しかし、社労士試験に挑戦するに当たって次のメリットがありますので、チャレンジしてみる価値は大有りです。

死ぬまで有効な資格が手に入る

社労士は難しい試験だけあり、合格すれば死ぬまで有効な資格が手に入ります。

社労士が一生使える資格だと言われているのは次の4つが大きな理由です。

  • 現職のキャリアアップや転職に役立つ
  • 資格の取得で給料のアップが見込める
  • 資格自体に将来性がある
  • 独立開業する際に役立つ

人事・労務部門の求人を出している企業では、社労士の資格が高く評価してもらえます。

就職や転職の大きな武器になりますので、働きながら社労士を目指す方が増えました。

様々な専門知識が身につく

社労士試験の出題範囲は、上記でも解説した通り労働基準法や健康保険法が中心です。

法律や会社に関する様々な専門知識を身に付けられるのは、社労士試験に挑戦するメリットの一つ!

試験で勉強した内容は、これから自分が生きていく上で必要な知識ばかりです。

労働基準法や厚生年金などの身近な法律は、仕事だけではなく実生活でも役立ちます。

独立開業も目指せる

社労士の資格を持っていると、将来的に独立開業を目指すことができます。

社労士として独立開業するに当たってどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

  • 社会情勢に左右されずに資格と自分の力で生きていける
  • 自分が努力すればするほど収入(年収)がアップする
  • 誰にも邪魔されずに自分のペースで仕事ができる
  • 顧客の課題を解決できる達成感を味わうと仕事のやりがいが大きくなる

社労士の資格は、企業内社労士や独立開業など自分のライフステージに合わせた柔軟な働き方ができるわけですね。

どっちが簡単?社労士と他の士業の難易度比較

「社労士と他の士業はどっちの試験が簡単なの?」と疑問を抱えている方はいませんか?

ここでは、「社労士」「行政書士」「中小企業診断士」「税理士」を試験の難易度で比較していきます。

行政書士とどっちが簡単?

行政書士とは、許認可申請が必要な書類の作成や相談業務を行う法律の専門家を指します。

社労士と行政書士を試験の難易度で比較してみると、行政書士の方が簡単です。

次の表を見ればわかる通り、行政書士の方が試験の合格率が高く、勉強時間の目安も短くなっています。

資格 社労士 行政書士
試験の合格率 6%~7% 10%~15%
勉強時間の目安 1,000時間程度 600時間~800時間
試験の問題数 合計で78問 合計で60問

社労士とは違い、行政書士は基礎的な法律の知識があれば試験を解けますので、学び始めたばかりの人でもとっつきやすいですよ。

中小企業診断士とどっちが簡単?

中小企業診断士とは、企業を様々な角度から診断して経営のアドバイスができる国家資格です。

以下では、社労士と中小企業診断士を試験の難易度で比べてみました。

資格 社労士 中小企業診断士
試験の合格率 6%~7% 4%~5%
勉強時間の目安 1,000時間程度 1,000時間以上
試験の問題数 合計で78問 227問(2020年度)

試験に要する勉強量はほぼ同じですが、中小企業診断士よりも合格率が高い社労士の方が簡単です。

税理士とどっちが簡単?

税理士とは、顧客の税金や融資の悩みを解決する税務のプロフェッショナルです。

税理士試験は社労士試験と同じで試験科目が多いのですが、11科目中5科目に合格すれば資格を取得できます。

「社労士よりも税理士の方が簡単そう」とイメージする方は少なくありません。

しかし、税理士試験は難易度の高い数学系の問題が出題されますので、社労士試験よりも遥かに長い勉強時間が必要です。

社労士よりも税理士の方が試験の難易度が高いと考えて良いでしょう。

社労士業務は簡単なのか?

社労士が行う業務は、「手続き代行(1号業務)」「労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(2号業務)」「人事労務管理のコンサルティング(3号業務)」の3つに大きくわけられます。

  • 手続き代行(1号業務):健康保険や雇用保険と関連する書類を作成し、行政官庁への提出を代行する
  • 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(2号業務):就業規則や労働者名簿などの帳簿書類を作成する
  • 人事労務管理のコンサルティング(3号業務):専門家の立場から人事労務管理のコンサルティングを行う

1号業務と2号業務は、社労士の資格を持つ人しかできない独占業務です。

これらの社労士業務が簡単なのかどうか、仕事内容別で解説していきます。

独占業務は専門性は高いが定型的

社労士の独占業務は専門性の高い仕事です。

社会保険労務士法第27条の業務の制限では、以下の規定があります。

社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。

参考:社会保険労務士法第27条(e-GOV)

社労士の資格を持つ人しかできない業務ですので、専門性が高いのは当然ですね。

労働社会保険諸法令に基づく申請書類や労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成は、法改正にも対応しないといけません。

しかし、社労士の1号業務と2号業務は定型的です。

業務は事務的に進められますので、慣れればそこまで大変ではありません。

3号業務のコンサルティングは簡単ではないが将来性が高い

社労士の3号業務は、企業から労務管理や社会保険に関する相談を受けてアドバイスや指導などのコンサルティングを行います。

わかりやすく説明すると、社労士の3号業務は労働関係のアドバイザーです。

労務コンサルティングの範囲は幅広いため、決して簡単な仕事ではありません。

しかし、社労士が行う労務コンサルティングは将来性の高い業務内容です。

1号業務と2号業務はAIを活用した人事労務管理ソフトが広がりを見せていますので、今後は仕事が減っていくと予想されます。

一方で3号業務は相談者とコミュニケーションを取りながら個別に対応する必要がありますので、AIに仕事が奪われる心配は無しです。

コンサルティング業務の需要は増えていますので、社労士は将来性のある資格だと言って良いでしょう。

社労士の業務と税理士の業務はどっちが簡単?

社労士の業務と税理士の業務はどっちが簡単なのか疑問を抱えている方はいませんか?

社労士の独占業務は行政官庁への書類提出代行や労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成なのに対して、税理士の独占業務は税理士法で次の3つだと定められています。

税理士の独占業務
税務代理 税務官公署への申告、届け出など
税務書類の作成 確定申告書、相続税申告書などの作成代行
税務相談 税額計算、節税対策など税務全般の相談に応じる

書類の作成や相談業務を行う点では社労士と同じです。

どちらも専門的な知識が必要ですので、「○○○の業務の方が簡単」と決め付けることはできません。

もちろん、社労士業務も税理士業務も顧客からの相談に乗ることが多いため、コミュニケーション能力は不可欠です。

まとめ

社労士の試験が簡単なのか難易度が高いのかどうかおわかり頂けましたか?

税理士試験や司法書士試験と比較すると社労士の試験は簡単ですが、合格率は6%~7%とかなり低くなっています。

試験範囲も幅広くて厄介ですので、これから社労士試験の合格を目指す方はしっかりと学習計画やスケジュールを立ててください。

 

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