先日、twitterで以下の質問を頂きました。
- 「労務管理士」とはどんな資格ですか?
- 労務管理士と社労士のダブルライセンスはおすすめですか?
詳しくは、この記事の本文を読んで欲しいのですが、結論から言えば
- 労務管理士は民間資格であり、「自己啓発(自分の勉強)」以外に取得する意味はない
- 社労士とのダブルライセンスには意味はない。最終的に社労士を目指すのならば、社労士一本に絞った方が早期取得ができる
という回答になります・・・・
ちょっと厳し目の回答ですが、社労士会からも
- 「労務管理士は、社労士と全く違う資格であるにも関わらず、『社労士と似たような資格』と一般の方を誤認させる恐れがある」
と主旨で、注意喚起がされているのです。
私個人としては、あまり悪いことは書きたくありませんが、「独占業務がない」「講習と簡単な試験を受け、登録料を払うことで資格が貰える(=お金で資格を買うイメージ)」など、「資格商法」と多くの方に呼ばれているのも事実。
以下の本文では、「それでも労務管理士について一通り知りたい」という方に向けて、できるだけ中立的な立場から記事を書いています。
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繰り返しになりますが、「独占業務が欲しい方」「最終的に社労士を目指している方」は、社労士一本に絞られることを強くおすすめします。
そうは言っても「社労士は難しすぎる」「社労士は勉強量が多すぎる」と感じている方も多いでしょう。
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労務管理士とは?
労務管理士(Labor Management Adviser)とは、労働基準法や労務管理の専門的な知識を有する資格のことを指します。
より高度な専門的職務能力を高めることを目的に、一般社団法人日本人材育成協会と一般社団法人日本経営管理協会が運営している民間資格です。
労務管理士には労務管理のスペシャリストとして、労働基準法の知識や実践的な能力が備わっているのかどうかが問われますね。
労務管理士の概要
以下では、労務管理士の概要について簡単にまとめてみました。
労務管理士の概要 | |
---|---|
資格の取得 | 労働基準法について一定の知識を持つ人のみに与えられる |
資格認定基準 | 公開認定講座を受講し審査試験出題規範に基づく資格認定試験に合格 |
資格の取得方法 | 公開認定講座や通信講座、書類審査やWeb資格認定講座 |
主な業務内容 | 労働契約の締結や労働条件の変更および管理など |
労務管理士が持っている知識は企業の管理部門になくてはならない存在ですので、会社に所属しながら成長したい人向けの資格です。
1級労務管理士と2級労務管理士がある
一口に労務管理士と言っても、次の2種類にわけることができます。
労務管理士の種類 | |
---|---|
2級労務管理士 | 20歳以上であれば性別や学歴、実務経験の要件を問わず誰でも受験できる |
1級労務管理士 | 2級合格後に研修で労務管理講座・基本過程を学び、更に専門性を磨ける |
最初に取得するのは2級労務管理士です。
その後に更なるステップアップを検討している方は、上位資格の1級労務管理士を目指せる仕組みになっています。
労務管理士の仕事
労務管理士の仕事を大まかに解説すると、企業に雇用されている従業員の労働環境の管理です。
資格名を見ればわかる通り、労務管理士は労務管理のスペシャリストを目指す資格です。
ここでは労務管理士の仕事について更に詳しくまとめてみました。
労務管理士の資格が役立つ業務
労務管理士の資格が役立つ業務は下記の通りです。
- 雇い入れの際に必要な雇用契約書の作成
- 各種規定が定められている就業規則の管理と運用
- 従業員の勤怠管理や給与および賞与計算
これらの業務は労働基準法の知識が深く関わっていますので、労務管理士で習得している内容がそのまま役立ちます。
労務管理士の具体的な仕事内容
労務管理士の具体的な仕事内容は次の7種類で、その内容は多岐に渡ることがわかります。
労務管理士の具体的な仕事内容 | |
---|---|
労働契約の締結 | 「賃金」「就業時間」「始業/終業時刻」「休憩時間」など労働条件に関する契約書の締結 |
労働条件の変更および管理 | 昇進や昇給、人事異動といった勤務ルールや労働条件の変更および管理を行う |
就業規則等の管理 | 労働基準法の範囲で従業員の就業時間や休憩時間、懲戒事由などのルールを作成して管理する |
社会保険・労働保険の管理 | 従業員ごとに社会保険や労働保険への加入を判断して適切な管理を行う |
給与・賞与の計算 | 従業員の勤怠に基づき、残業時間や深夜労働で変動する給与や賞与を計算する |
従業員の健康管理 | 誰にどのような健康診断を実施すべきかのメンタルヘルス対策を行う |
職場環境の改善 | 長時間労働の抑制やワークライフバランスの実現を目指して従業員が働きやすい環境を作る |
労務管理士は、従業員に関する仕事を任される専門家というイメージです。
労務管理を行う部署はどこ?
労務管理を行う部署は企業によって大きな違いがあります。
「人事部」「労務部」と部門が独立している会社があれば、総務部の一部に組み込む企業など様々ですね。
どちらにしても、労務部門では従業員の働く環境を構築したり管理したりする機能を担っています。
労務管理士の難易度
労務管理士の資格取得を目指すに当たり、「難易度って高いの?」「試験は難しいの?」と疑問を抱えている方はいませんか?
結論から言うと、労務管理士は国家資格ではなく民間資格ですので難易度はそこまで高くありません。
全国各地で開催されている講座を受講し、所定の試験に合格すると晴れて労務管理士の資格を取得できます。
下記の項目でも詳しく解説していますが、講座に通えない方のためにWeb資格認定講座や通信講座が用意されていますので安心です。
受験資格も20歳以上であれば学歴や実務経験は問われませんので、労務管理士の難易度は易しいと考えて良いでしょう。
労務管理士の合格率
労務管理士の試験の合格・不合格は次の基準で決まります。
労務管理士の合格基準点 | |
---|---|
合格 | 70点以上で2級労務管理士として資格登録できる |
不合格 | 70点未満で再試験(受講期間内は何度でも再試験OK) |
しかし、労務管理士の合格率に関するデータは公開されていません。
どのくらいの人数が受験しているのかも不明ですが、講座では労務管理の基礎や最新の法律知識を専門の講師から学ぶことができますので、労務管理士の合格はそこまで難しくないですよ。
労務管理士の資格の取得方法
このページでは、労務管理士の資格の取得方法について詳しく解説していきます。
2級労務管理士になるには4つの方法がある
2級労務管理士になるには、次の4つの方法があります。
2級労務管理士の資格取得方法 | |
---|---|
公開認定講座 | 全国主要都市で順次開催されている公開認定講座に参加して試験に合格する |
通信講座 | 所定の通信研修(基礎課程)を通信講座で履修し、通信による到達度試験を受ける |
書類審査 | 労務管理に関する3年以上実務経験の証明で経歴と課題論文により審査する |
Web資格認定講座 | パソコンやスマホで所定の研修(基礎課程)をeラーニングで履修して資格試験を受ける |
一般的には公開認定講座を受講して2級労務管理士の資格を取得する形になります。
しかし、公開認定講座に出席するのが困難な方は、通信講座やWeb資格認定講座を利用する形になります。
更に上位の1級労務管理士になるには?
2級労務管理士に合格した方は、更に上位の1級労務管理士を目指すことができます。
1級労務管理士になるには、試験に合格した後に資格者研修を通じて労務管理講座・基本過程を学び、全てを修了するのが条件です。
更なるステップアップを目指している方は、各分野別研修過程を受講して1級労務管理士の資格を目指すことができます。
労務管理士に向いているのはどんなタイプ(特徴)の人?
労務管理士は、次の3つのタイプに当てはまる人に向いています。
- 保険料の手続きや給与の計算などコツコツとした作業が得意
- コミュニケーション力があって秘密を守れる
- 法律に関する学習意欲が高い
社員の人生に直接関わる職務ですので、労務管理士の仕事の責任は重大です。
労務管理士と社労士の比較
労務管理士と社会保険労務士は名前が似ていますが、業務内容には大きな違いがあります。
労務管理士が労務管理の専門的な知識を有するスペシャリストなのに対して、社会保険労務士は社会保険に関するプロフェッショナルです。
「労務管理士と社労士のどちらを目指せば良いの?」と悩んでいる方のために、以下では2つの資格を比較してみました。
社労士との類似点
労務管理士と社労士は次の点で似ています。
- 労働関連法令に精通して企業の労務管理に関わる専門知識を有している
- 資格の専門性を活かして従業員の給与計算や健康管理に取り組むことができる
どちらの資格も労務管理関連の知識の証明になるのが類似点です。
社労士との相違点
今度は労務管理士と社労士の相違点について見ていきましょう。
- 労務管理士は民間任意団体が認定している民間資格なのに対して、社労士は国に認められている国家資格
- 労務管理士は独占業務がなく、他者(顧客)のためにする1号業務(手続き代行)や2号業務(帳簿作成)は社労士にしかできない
例えば、自社以外の企業(顧客)向けに行う従業員の健康保険や雇用保険の手続きは、社労士の資格を持っている人しかできない独占業務です。
もしこれらの手続きを労務管理士が行うと、処罰の対象になりますので注意しないといけません(労務管理士の資格を持つ社員が、自社の業務を行うことは問題ありません)。
※社労士の独占業務については、下記の記事も参考にしてください。
※なお、社労士の3号業務(コンサルティング業務)は独占業務ではないので、労務管理士の方でも、自社以外の企業にサービスを提供することができます(というより、まったくの無資格でも問題ありません)。
社労士の3号業務については、下記の記事も参考にしてみてください。
社労士と労務管理士のダブルライセンスは、あまり意味がない
「業務内容が違うなら社労士と労務管理士のダブルライセンスになれば良いのでは?」と考えている方はいます。
しかし、結論から言うと社労士と労務管理士のダブルライセンスにはあまり意味がありません。
それは社労士の資格を持っている方は、既に労務管理士としての知識も十分に兼ね備えているからです。
「社労士と労務管理士の2つの資格を持ってはいけない」というわけではないものの、独占業務を有する国家資格の社労士の資格さえ取得していれば、無理にダブルライセンスにならなくても良いと心得ておきましょう。
※社労士のダブルライセンスについては、下記の記事も参考にしてみてください。
まとめ
労務管理士の仕事内容や試験の難易度、社労士との違いについておわかり頂けましたか?
幅広い業務をこなせる労務管理士は、ビジネスパーソンとして活躍できる場所を増やせます。
国家資格の社会保険労務士と比べて軽視されがちですが、自己啓発の一環として労務管理士の資格を取得するの手もあるでしょう。
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社労士コラムについては、下記の記事も参考にしてください。
<対象別コラム>
<ダブルライセンスのコラム>
<社労士実務に関するコラム>
この記事の監修者 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 , 宅地建物取引士 , 2級FP技能士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |