今回は、社労士のダブルライセンスに関する記事です。
現在、社会保険労務士(社労士)の試験に合格して満足するのではなく、新たな資格を取得しようと試みる人は増えています。
複数の資格を併せ持つダブルライセンスにどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
社会保険労務士(社労士)のダブルライセンスになるメリットはこれだ!
キャリアアップや転職の武器になる
社会保険労務士(社労士)がダブルライセンスになる一番のメリットは、キャリアアップや転職の武器になるところです。
社会保険労務士(社労士)だけでも仕事で十分に活かすことができますが、他の資格を併せ持つダブルライセンスになれば次のように可能性が更に広がりますよ。
- 昇進や昇格などキャリアアップで高収入を得られる
- 転職活動において自分のアピールポイントが増える
- 他の求職者と差別化を図ることができる
自分ができる業務の幅が広がることによるデメリットは特にありません。
特定の分野に特化した士業を目指すのが良いという意見もありますが、自分のアピールポイントを増やして活躍したいのであれば社会保険労務士(社労士)と別の資格のダブルライセンスを目指すべきです。
顧客やクライアントからの信用を勝ち取れる
社会保険労務士(社労士)に限った話ではありませんが、ダブルライセンスは顧客やクライアントからの信用を勝ち取ることができます。
1つの資格を持つ人よりも複数の資格を持つ人の方がそれだけ知識と業務の幅が広い社会保険労務士(社労士)だと捉えてもらえるのです。
業務の幅広さと知識の豊富さは、結果的に営業面でも有効性を十分に活かすことができるでしょう。
もし社会保険労務士(社労士)の資格を活かして独立開業を目指すのであれば、自分から顧客を新規開拓する努力をしなければなりません。
ダブルライセンスの方ほど、「この人に相談すれば安心」と思わせることができますので、新規顧客の獲得に繋げられます。
足りない部分を補える
ダブルライセンスの保有者は、それぞれの業務で足りない部分を補うことができます。
社会保険労務士(社労士)と行政書士を例に挙げてみてみると、書類の作成や提出の代行がメインの業務でもその内容は下記のように全く違うのです。
- 社会保険労務士(社労士)は社会保険関係の手続き代理が専門の士業
- 行政書士は事業届や開業届など官公署への申請代理ができる書類作成のプロ
企業に対して様々なサポートができるようになりますので、ダブルライセンスを目指すのが良いのは何となくおわかり頂けるのではないでしょうか。
社会保険労務士(社労士)におすすめのダブルライセンスはこれ!相性の良い資格は?
複数の資格を取得するダブルライセンスは、相乗効果でありとあらゆる強みが生まれます。
しかし、資格を仕事や日々の業務で活かすに当たり、闇雲に取得すれば良いわけではありません。
資格の数であなたの価値が決まるわけではありませんので、社会保険労務士(社労士)と相性の良い資格を取得してダブルライセンスを目指すべきですね。
このページでは、社会保険労務士(社労士)におすすめのダブルライセンスをいくつか挙げてみました。
「社会保険労務士(社労士)はどの資格との相性が良いの?」と疑問を抱えている方は、是非一度参考にしてみてください。
行政書士とのダブルライセンス
上記の項目でも少し説明しましたが、社会保険労務士(社労士)と行政書士のダブルライセンスはおすすめです。
社会保険労務士(社労士)と行政書士の試験科目を見てみると、次のように大きな違いがあります。
- 社会保険労務士(社労士)の試験は、「労働基準法」「雇用保険法」「厚生年金保険法」「国民年金法」などの分野
- 行政書士の試験は、「憲法」「行政法」「民法」「基礎法学」「商法・会社法」などの分野
「2つの仕事内容に共通点はないのでは?」と疑問を抱えている方は少なくありません。
しかし、社会保険労務士(社労士)も行政書士も各種書類の作成のエキスパートという点では一緒です。
双方の法律の知識を持ち合わせるダブルライセンスになれば、仕事の幅は大きく広がります。
社会保険労務士(社労士)が取り扱うことのできる書類は、労働関係や社会保険関係の手続きです。
一方で行政書士が行える業務は会社設立の際の定款や各種議事録、外国人のビザ関連書類を中心に何と10,000種類以上もありますよ。
行政書士が行える業務範囲もテリトリーとして持つ社会保険労務士(社労士)は、企業から重宝されるのは間違いありません。
- 社会保険労務士(社労士)と行政書士のダブルライセンスになる
- 取り扱うことのできる書類や手続きの数が大幅に増える
- 今後の活動の選択肢を増やすことができる
- 新規顧客の開拓が以前よりもしやすくなる
- 結果的に収入のアップに繋がる
上記のようなメリットがありますので、社会保険労務士(社労士)と行政書士のダブルライセンスは士業としての活動に弾みがつきます。
メンタルヘルス・マネジメント検定とのダブルライセンス
メンタルヘルス・マネジメント検定は、企業で働く人の心の不調を防止して活力ある職場作りを目指すために、職場での役割に応じたメンタルヘルスケアを学ぶ検定試験です。
国家資格ではありませんが、厚生労働省が制定する「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を受けて、大阪商工会議所と施行商工会議所が検定試験を実施しています。
数多くの社員や従業員を抱えている企業にとって、労働者のメンタルヘルスに関する問題は避けられません。
企業の労務問題を取り扱う社会保険労務士(社労士)は、経営者から従業員のメンタルヘルスに関する相談も多くなります。
つまり、今の顧客やクライアントの満足度を高めるために、社会保険労務士(社労士)とメンタルヘルス・マネジメント検定のダブルライセンスがおすすめです。
メンタルヘルス・マネジメント検定は、次の3つのコースにわかれています。
一般社員向けのⅢ種(セルフケアコース):自らのストレスの状況や状態を把握し、早い段階で不調に気付いて必要に応じて助けを求められるようになるのが到達目標
管理監督者向けのⅡ種(ラインケアコース):部下が不調に陥らないように配慮し、不調が出た時に安全配慮義務に則った対応を行えるようになるのが到達目標
人事労務管理スタッフや経営幹部向けのⅠ種(マスターコース):自社の人事戦略や方針を踏まえ、メンタルヘルスケア計画や従業員への教育、研修に関する企画ができるようになるのが到達目標
Ⅰ種(マスターコース)のメンタルヘルス・マネジメント検定に合格するのは簡単ではありません。
しかし、社会保険労務士(社労士)の試験と比べてみると難易度は低くなっています。
ダブルライセンスで社会保険労務士(社労士)の仕事の幅を広げたい方は、最上位のⅠ種(マスターコース)のメンタルヘルス・マネジメント検定を目指してみましょう。
キャリアコンサルタントとのダブルライセンス
キャリアコンサルタントは2016年の4月から創設された国家資格で、社会保険労務士(社労士)とのダブルライセンスにおすすめの資格だと注目を集めています。
キャリアコンサルタントは個人の適性や職業経験に応じて職業設計を行い、それぞれの仕事の選択や能力開発を効果的に行うサポートをする専門家です。
企業の人事や教育関連部門、大学のキャリアセンターや人材派遣会社などありとあらゆる分野でキャリアコンサルタントは活躍していますね。
なぜ社会保険労務士(社労士)とキャリアコンサルタントの組み合わせが良いのか、いくつかの理由を見ていきましょう。
- 従業員の採用や配置、昇進や昇格を労務管理の視点を取り入れてサポートできる
- キャリアの知識と労務管理の知識で、よりスムーズな課題解決に繋がる
- 人と組織の両方にフォーカスし、相互作用を高め合うキャリアマネジメントができるようになる
例えば、2017年から始まった人材開発支援助成金の運用はキャリアコンサルタントの業務ですが、申請書類の作成や提出代行などの手続きは社会保険労務士(社労士)の仕事です。
社会保険労務士(社労士)とキャリアコンサルタントのダブルライセンスでは、2つの知識を兼ね備えた効果的なサポートや課題解決ができます。
キャリアコンサルタントの養成数は徐々に増えていますので、資格の取得を目指してみてください。
中小企業診断士とのダブルライセンス
他の社会保険労務士(社労士)と差別化を図りたい方には、中小企業診断士の資格も向いています。
中小企業診断士とは企業の経営戦略の相談に乗ったりアドバイスしたりする経営コンサルのプロで、ビジネスマンから大注目の国家資格です。
社会保険労務士(社労士)と中小企業診断士のダブルライセンスになると、下記のようなサポートができるようになります。
- 企業から労務の相談を受ける社会保険労務士(社労士)は、経営の問題点や課題も見えてくる
- その流れで中小企業診断士の資格を活かして経営に関するアドバイスや指導をプレゼンする
- 社会保険労務士(社労士)としての信頼を獲得しながら経営コンサルの入り口を作ることができる
今現在担当している企業や会社に対して、高付加価値なサービスを提供できるわけです。
人事労務に強い経営コンサルタントは、様々な問題や課題を抱える企業から重宝されますよ。
また、社会保険労務士(社労士)と中小企業診断士は試験内容の関連性も高く、似ている部分をいくつか見ていきましょう。
- 中小企業診断士の一次試験の労働保険関係は、社会保険労務士(社労士)で学んだ内容と重複する
- 中小企業診断士の二次試験の経営コンサルティング試験は、社会保険労務士(社労士)で習った知識や実務が役立つ
試験で少しでも安定した得点源があるのは大変有利ですので、社会保険労務士(社労士)の後に中小企業診断士の試験勉強をしてダブルライセンスになってみてください。
ファイナンシャルプランナー(FP)とのダブルライセンス
社会保険労務士(社労士)とファイナンシャルプランナーのダブルライセンスは、高齢化社会の現代だからこそ強力な組み合わせです。
ファイナンシャル・プランナーとは、顧客から収支や資産状況などのソース提供を受けて、それをもとに将来のライフプランニングに即した資金計画や助言を行う資格を指します。
社会保険労務士(社労士)は社会保険や年金などお金に関する分野を専門としているため、ファイナンシャル・プランナーとの親和性は非常に高いのです。
例えば、ライフプランを考えるに当たって老後の年金は非常に重要で、相談者のニーズに応えるには国民年金や厚生年金に関する正しい知識を兼ね備えておかないといけません。
その知識は社会保険労務士(社労士)の資格で習得できるため、既にファイナンシャル・プランナーとして顧客の相談業務に乗っている方はより自信をもって年金相談に取り組めます。
事業主や経営者個人の年金相談を受けることもありますので、社会保険労務士(社労士)とファイナンシャル・プランナーのダブルライセンス者は頼りになるでしょう。
税理士とのダブルライセンス
社会保険労務士(社労士)と税理士は、顧客の対象が両方とも中小企業と重なっている部分があります。
大企業では経理財務部門や人事労務部門が当然のようにいても、中小企業の場合はそうはいきません。
もし社会保険労務士(社労士)と税理士のダブルライセンスであれば、経理や税務に加えて労務や社会保険に関する全ての業務をワンストップで行うことができます。
企業の財務処理や決算処理を担う税理士は、社会保険に関する知識や計算も絡んできますので、社会保険労務士(社労士)との相性が良いわけです。
税法と社会保険法は技術的な法律分野ですので、試験の勉強で培った知識やスキルは社会保険労務士(社労士)の学習にも応用できます。
しかし、どちらの資格も一科目ごとの難易度が非常に高いため、ダブルライセンスを目指すにはじっくりと時間をかけて試験対策を行わないといけません。
人事総務検定とのダブルライセンス
人事総務検定は、社会保険労務士(社労士)とのダブルライセンスでおすすめの資格です。
人事総務検定とは、その名の通り人事総務に関する知識や実務能力を問う検定を指します。
試験で問われる内容は、基本的に社会保険労務士(社労士)と関わりが深いものです。
つまり、社会保険労務士(社労士)の試験に合格した人であれば、そこまで長い時間をかけることなく人事総務検定に合格できるでしょう。
もし人事総務部に勤めているのであれば、社会保険労務士(社労士)と人事総務検定のダブルライセンスで更なるステップアップができます。
社会保険労務士(社労士)の手続きに加えて人事総務の労務まで深く対応できる有資格者を目指している方は、是非一度チャレンジしてみてください。
社労士受験生は文系の方が多いため、理系が苦手な人も多いと思います。もし興味があれば、「理科検定」を受けてみては如何でしょうか。
「理検」理科検定(実用理科技能検定)は理科の学習者を積極的に顕彰・評価し、日常生活に役立つ科学的な知識やものの見方を高め、次代を担う技術や地球環境の維持に必要な基礎力を養います。
社会保険労務士(社労士)がダブルライセンスを目指すデメリットは?
社会保険労務士(社労士)と別の資格を持つダブルライセンスは、日々の業務に活かすことができます。
キャリアアップや転職の選択肢の数も増えますが、次のデメリットがありますので注意しましょう。
- 難しい国家資格の場合は、取得するまでに長い時間と高い費用がかかる
- 今の業務をこなしながら新たな資格を取得するのは想像以上にハードルが高い(実務が疎かになっては意味がない)
- 資格の組み合わせによっては相乗効果が生まれない可能性がある
- それぞれの資格の最新情報をインプットする際に時間がかかる
社会保険労務士(社労士)と他の資格のダブルライセンスを目指す予定の方は、今の自分に必要なのか考えてから試験勉強に取り組むのがポイントです。
まとめ
社会保険労務士(社労士)とおすすめのダブルライセンスについておわかり頂けましたか?
行政書士やメンタルヘルス・マネジメント検定、キャリアコンサルタントや中小企業診断士は特に社会保険労務士(社労士)と相性の良い資格ですね。
しかし、ダブルライセンスを取得しても、実際に仕事で役立てることができなければその価値は薄れます。
自分のキャリアプランに合わせてベストな資格を取得してダブルライセンスになり、社会保険労務士(社労士)の強みを伸ばす努力をしてみてください。
【参考】本記事の執筆にあたり、以下のWebサイトの統計データを参考にしました。
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